『太平洋』に突出する『銚子半島』
切り立った海岸線に
空に向かって立つ
『犬吠埼灯台』
8月の眩しい青空に
くっきりとした白い姿を
輝かせています。
それにしても、暑かった。
『銚子半島』周辺は
小島や岩礁が多く
その昔より
船の難所として知られておりました。
『江戸時代』末期
『榎本孝明』率いる船団の軍艦
『美賀保丸』が
『黒生』沖で座礁し沈没しました。
『明治』になりまして
『リチャード・プラントン』という
『イギリス』の灯台技術者を招き
この岬に洋式灯台の建設が始まりまして
明治7年(1874年)
『犬吠埼灯台』が完成しました。
岬の突端に
水平線から52メートル
(コン・バトラーVよりちょっと低め)
11万カンテラの強力な光が
銚子半島に広がる暗黒の海を
照らしたのでございます。
海岸沿いに灯台へ
『銚子電鉄犬吠駅』より
改札口を出て左手に曲がり
国道254号線を渡り
海岸に出る細道を進みますと
『犬吠駅』より徒歩5分で海岸線に出ます。
目の前に広がる大海原
波間に突き出た巨大な岩岩
大パノラマを右手に見つつ
海岸線に沿って歩いてゆきます。
おや
高校生のお兄さん達が
画板を持って
スケッチされています。
美術部の合宿でしょうか?
やがてトンネルをくぐり
坂道を登ってまいりますと
くっきりとした青空を背景に
天に向かって立つ
真っ白な
『犬吠埼灯台』が見えてまいります。
ところで
『灯台放送』というものを
ご存知でいらっしゃいますか?
中波の1670.5kHzで
各灯台から自動音声で
沿岸を航行する船舶に
風の強さや波の高さを
発信しておりました。
一回の放送は1分足らずですが
毎時00分に
『宮古島灯台』から
『釧路灯台』までの
『太平洋』沿いの各灯台
『大瀬崎灯台』から
『焼尻島灯台』までの
『日本海』側を
1時間かけてリレー式に
放送いたします。
『犬吠』は
毎時20分ごろと記憶しております。
冬の晴れた夜に
ノイズの向こうからかすかに
『各局 各局 各局
こちらは
いぬぼう いぬぼう いぬぼう』
と
女性の自動音声が聞こえてまいります。
その後
天気 風向 風力 波の高さを伝えたあと
『さようなら』
と言って終わります。
24時間365日
雨の日も風の日も
情報を伝え続けた『灯台放送』ですが
インターネットの普及で
徐々にニーズが少なくなり
2016年9月30日正午をもちまして
廃止となりました。
『銚子半島』の険しい海岸線を
航行するたくさんの船
その安全を照らし続ける
『犬吠埼灯台』
8月の青空に
天に向かって聳え立つ白い姿に
美しさと凛々しさを感じるのでございます。