伊予鉄道で『松山市』から海岸沿いの駅『梅津寺』までは18分



海辺の駅というものは、なんとも郷愁を誘いますな。
ホームのすぐ向こうは
白い砂浜や岩場が続く海岸線

大海原が広がり、水平線で大空と出会う

電車のホームという、いわば日常的な場所のすぐ向こうに
別世界が広がります。

日中の青空の下で、紺碧に輝く海も良し
沈み行く夕日に照らされ、茜色に輝く海も良し

打ち寄せる波の音に身を任せ
潮の香りを運ぶ海風に吹かれておりますと

何やら物語の世界に迷い込んだような気がいたします。

『伊予鉄道』の『松山市』駅から18分
『梅津寺駅』は

1991年に放映された大人気テレビドラマ
『東京ラブストーリー』の最終回のロケ地でございます。

ドラマのヒロインが
この駅のホームの欄干に
お別れのメッセージを記したハンカチを結びつける。

四半世紀以上経った今でも
この地を訪れ
欄干にハンカチを結ぶ方が絶えませぬ。

伊予鉄道松山市駅

『松山城』を後に『リフト』で『東雲口』まで降り
『ロープウエー商店街』を通り
路面電車の『大街道』まで歩きます。



そして『大街道』から路面電車で『松山市駅』まで

ここから『伊予鉄道高浜線』に乗り
終点『高浜駅』の一つ手前の『梅津寺駅』を目指します。

料金は大人が360円
所要時間は18分でございます。

車両は昔懐かしい『井の頭線』

切符を購入し改札口を入り
階段を降りてホームで待つことしばし

電車がやってまいりました。

おや、昔懐かしい車両
私が子供の頃に見た『井の頭線』でございます。



『伊予鉄道3000系車両』
『京王電鉄』より車両を購入し
リニューアルしたそうでございます。

湘南電車のような二つ窓のボンネット

上半分にはカラーマスクが施されております。

『井の頭線』時代には
ピンク 紫 水色 スカイブルー メロン色など

様々なカラーマスクが目を楽しませてくれたものですが

『伊予鉄道』ではアイボリー一色
ステンレスのボディには
『伊予鉄道』のシンボルカラーである
オレンジ色のストライプが描かれたおります。

お昼前の時間帯のせいか、車内に乗客は少なく
車両の一番前の運転席が見える座席に腰掛け
流れる景色に
良い歳をして、子供のように見とれております。

電車と路面電車がクロスする古町駅

『古町』の駅は
鉄道路線と路面電車のホームが
平行して並ぶ大変珍しい駅でございます。



鉄道路線を斜めに横切るようにして
ホームに入線してくる路面電車の姿に
少し驚いた次第でございます。

美しい海岸沿いの梅津寺駅

列車は街中を抜け、やがて海岸線を走ります。

ほどなく『梅津寺駅』に到着

ホームを降りたところに
踏切と駅舎がございます。



駅事務所がありますが
駅員さんは席を外されているよう

券売機と清涼飲料水の自動販売機が
あるくらい

踏切を渡りますとすぐに
砂浜の海岸線でございます。



海岸に人は少なく
ご家族連れのお子さん達が
遊んでおられるくらいでございます。
靴を脱いで裸足になり
砂浜を歩いて波打際までまいります。

『伊予灘』の穏やかで美しい海が
いっぱいに広がります。

秋山好古・真之の銅像

『司馬遼太郎』の時代小説
『坂の上の雲』の主人公

『秋山好古』
『秋山真之』兄弟の銅像が
歩いて10分のところにございます。



『明治時代』に
あの『ナポレオン』をも破った『コサック騎兵隊』と『満州』の地で戦い
見事勝利した、兄『好古』

世界最強と謳われた『バルチック艦隊』と相見え
これを退けた、弟『真之』

『アジア』の小国が目覚ましい近代化を遂げ
世界の列強国と肩を並べた激動の時代を
逞しく生き抜いた二人の英雄は

今はこの地で、穏やかな海を
凛々しく見つめております。



さて、そろそろ引き返すといたしましょう。

駅舎の券売機で切符を購入し
ホームで電車を待ちます。

対向側のホームの向うに
碧い海が広がり
それは幻想的な景色でございます。




ホームの柵の一角に
この駅が『東京ラブストーリー』の
ロケ地に使用されたことが書かれた看板が立っております。

ドラマ放映当時は
物語のように柵にハンカチを結ぶ人々が
後を絶たなかったそうですが

四半世紀あまりを経た今は、そうした形跡もなく
ただ波の音が聴こえるばかりでございます。














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