『佐賀県唐津市』にある『旧唐津銀行』
『JR佐賀駅』より徒歩7~8分で行ける
由緒ある歴史的建造物でございます。
『唐津銀行』は明治18年(1885年)に設立され
『唐津銀行本店』は明治45年(1912年)に竣工いたしました。
この建築物を設計したのは
『唐津』出身の『日本』を代表する建築家
『辰野金吾』
赤レンガに白の御影石
青銅色の美しいドーム
『ヨーロピアンスタイル』の建築技法に
『和』の要素を巧みに織り交ぜた独特なフォルムは
『辰野式』と呼ばれ
あの『東京駅』の駅舎を設計した人として
世界的にも有名な方でございます。
『旧唐津銀行』の建物は
『佐賀銀行唐津支店』として
平成9年(1997年)まで実際に使用されておりましたが
平成14年(2002年)『唐津市』に寄贈され
一般開放されております。
美しい外観はもとより
一階の窓口やオフィス
二階に至る階段や貴賓室など
内装も大切に保存されております。
『唐津』を代表する貴重な建築物
『旧唐津銀行』は
入場は無料
12月29日~31日を除く毎日
9:00~18:00(入場は17:40)
ご見学が可能でございます。
辰野式-エキゾチックな洋風建築物
『玄界灘』を望み、人口12万4千人を擁する、佐賀県北西部の都市『唐津』
『唐津藩』の城下町として発展し
今なおその気品を色濃く残す、エキゾチックな街でございます。
『唐津神社』の秋の大祭『唐津くんち』
『日本三大松原』のひとつ、『虹の松原』
『呼子』の烏賊と朝市
日本を代表する景勝地、文化財、グルメ」の数々は
私達の旅心を刺激して止むことがございません。
『嬉野温泉郷』の老舗旅館
『茶心の里和楽園』で
おいしい朝ごはんを頂きながら
お世話をしてくださるベテランの中居さん
『へえ、これから、長崎に行かれる前に、唐津へねぇ・・?』
と、ちょっと不思議そうでいらっしゃいましたが
そこは、『極東切絵画家』
『佐賀県』に一歩足を踏み入れさせてさせて頂いたからには
どうしても、『唐津』へ行きたかったのでございます。
さて、『JR佐世保線・久保田駅』から
1時間の乗り換え待ち時間を含み
列車を乗り継いでやってきたこの城下町
どのような街でございましょう。
早速、歩いてまいりましょう。
『唐津駅』より、立派な石垣が残るお堀にそって
『唐津湾』の方に向かって歩いてまいります。
『旧唐津銀行』
まず最初に、訪れたい場所でございます。
明治45年に完成した、この美しい煉瓦の建物
設計したのは、『田中 実』さん
日本を代表する建築家
『辰野金吾』さんの、お弟子さんでいらっしゃいます。
『辰野金吾』さんは、『唐津』のご出身
『工部大学校(現在の東大工学部)』に
末席で入学されたのですが
その後、猛勉強に猛勉強を重ねられ
主席で卒業されたことによって獲得した奨学金により
恩師の祖国である英国に渡られ、最先端の建築学を学ばれます。
日本に帰国された後は
『東京駅』など、さまざまな建築プロジェクトにおいて
後世に残る、すばらしい建築物を残されました。
赤煉瓦と、真っ白な花崗岩のストライプが織りなす
目にも鮮やかな建物の頂点に、青銅色のドームが輝く斬新な建築様式は
『辰野式』と呼ばれ、今なお人々の心を魅了して
止まないのでございます。
素晴らしい外観とともに、幾多の自然災害にも
びくともしない堅牢さは
『辰野堅固』とも、呼ばれるそうでございます。
さて、『唐津』ご出身の、偉大な建築家
実は私、ある小説で、印象深い方でございました。
『万城目 学』さんの代表作『プリンセス・トヨトミ』で
『辰野 金吾』さんのお名前が、出てまいります。
『財団法人OJO』の監査のため、
『空堀商店街』の一角にある、『長浜ビル』を訪れた
会計監査員の『鳥居 忠』
おっちょこちょいだが、鋭い直観力を持つ彼は
この『長浜ビル』の建築様式が、東京駅と同じ
『辰野式』であることを見抜きます。
実は、この『長浜ビル』
大阪城の地下の、巨大空間に造られた
『第二の国会議事堂』
『大阪国』の中枢に至る道を
カモフラージュしていたのでございます。
そんな一説を、想い出しながら
美しい煉瓦造りの建物を、見上げます。
ちょうど、この『唐津銀行』のプロジェクトが計画された時
『辰野金吾』さんは、『東京駅』プロジェクトの真っ最中
愛弟子の『田中実』さんに、自らの監修のもと
設計を任されたのでございます。
木目が美しい窓口カウンター
入り口を入りますと、地元のボランティアの方が迎えてくださり
建物の構造や、歴史的沿革を説明して下さいます。
建物の一階は、木目の美しい窓口カウンターの奥に
広々としたオフィスが広がります。
窓口カウンターの向かって右手には
優雅な螺旋階段があり、登って2階にまいりますと
高い天井と、立派な暖炉や、格調高い机や椅子がおかれた
『貴賓室』へと至ります。
映画『鹿鳴館』を思い起こさせる
気品に満ちた佇まいに、思わず息をのみ
目を凝らして、佇んでおりました。