漆黒の夜空に浮かぶ大鳥居-真夜中の厳島神社にて



『厳島神社』をあとに、人々でにぎわう参道を
『フェリーターミナル』の方向に、歩いてまいります。

参道のすぐ横は、石垣
その向こうには、白い砂浜を経て
碧く美しい『瀬戸内海』が広がり

その向こうには、『広島』の市街が、まもなく暮れ行く空に
またたきを灯し始めます。

西に傾き始めた太陽に照らされ、参拝の人々に交じって
そぞろ歩いてまいります。

本日お世話になりますのは、『安芸の宮島』でも老舗のお宿
『みや離宮』様でございます。

安芸の宮島を彩る四季折々のメニュウ

『宮島』を代表する海の幸といえば
やはり『牡蠣』と『穴子』

波が静かでプランクトンの豊富な海で育った大粒の牡蠣は
とろけるようでございます。

生牡蠣 焼き牡蠣 カキフライ 土手鍋と
豊富なバリエーションでいただけます。

穴子は3月~10月にかけていただけます。
油がのっていて身もフワフワの穴子
天ぷらは絶品
タレに浸けて焼いた『穴子めし』は有名でございます。

その他旬の食材を使ったお料理は
<春>
春先に採れる鯛は色鮮やかで、『桜鯛』と言われております。
栄養たっぷりの『小鰯』は、お刺身や天ぷら 干物でいただきます。
宮島で水揚げされた『浅利』も身が引き締まり美味でございます。
<夏>
関西では夏を代表する魚ー『キス』
お造りだけでなく、しゃぶしゃぶでもいただけます。
身がふっくらの『はも』
お寿司 酢の物 天ぷらでいただきます。
<秋>
なんと申しましても、『松茸』でございましょう。
広島産の高級食材を贅沢にいただきます。
<冬>
冬に採れる『寒蛸』は、身が引き締まり絶品でございます。

瀬戸内海を一望できる、絶景のお宿

1階のロビーでチェックイン手続きを行い
お部屋まで案内していただきます。

ゆったりとした、落ち着いた雰囲気のなかに
さりげなく、『雅』と『華』を感じるお部屋でございます。

窓のすぐ向こうには、『瀬戸内海』が広がり
左手を見れば、『厳島神社』の『大鳥居』が
目に飛び込んでまいります。

荷物を置いて、浴衣に着替え
まずはお茶を一服

ほっといたしましょう。

さて、手ぬぐいを片手に
ホテル最上階の、大浴場にまいります。

目の前に広がる『瀬戸内海』を一望しながら
広い湯船に、ゆったりと浸かります。

瀬戸内の山海の幸を堪能する

さっぱりしたところで、お部屋に戻りますと
いよいよ待望の、お夕飯でございます。

やはりこの『みや離宮』さまも
お食事はお部屋で、ゆったりといただけるのでございます。



中居さんが、お膳に並べてくださる
目も鮮やかな品々

瀬戸内海ならではの、新鮮な海の幸と
四季折々の山の幸をふんだんに使った
こころのこもった一品一品でございます。

まずは、生ビールで乾杯。

『厳島神社』の『平舞台』を思わせる、美しい器に盛られた前菜

新鮮なお刺身

栄養豊富な瀬戸内海で育った、ぷりぷりの生牡蠣

柔らかな舌触りの、牛しゃぶ

ボリューム満点、大粒の牡蠣フライ

『安芸の宮島』名物、アナゴご飯



冷酒をいただきながら、山塊の珍味を、心から堪能いたします。

もう、食べきれない、と思いながらも

気が付けば、すべて完食

『安芸の宮島』の食の名産を、ほとんどすべて味わうことができました。

お腹もいっぱいになり、ほろ酔い加減を楽しみつつ
お部屋でのんびりと過ごし

お腹が落ち着いたところで
手ぬぐい片手に、ホテル最上階の大浴場へ。

広々とした湯船に浸かり、瀬戸内海の向こうに瞬く
広島の夜景を眺めながら、手足をのばします。

夜の闇に浮かぶ大鳥居

お風呂から上がり、お部屋に戻って、何気なく窓の外を見ると

暗闇の中に、鮮やかな朱色の、ライトアップされた『大鳥居』が
浮かび上がっております。

よく見ると、『大鳥居』の足元に、人影が見えます。

時刻は、夜の9時半頃。干潮で、沖まで歩いてゆけるのでございます。

ここは、意を決して、着替えてコートを羽織り
『大鳥居』まで行ってみることと、いたしましょう。

ホテルを出て、目の前の瀬戸内海沿いの路を進み
石灯籠が並ぶ、人気のない真っ暗な参道を進み

石垣の一部に設けられた、石の階段を降り

潮の引いた、ところどころぬかるんだ海底を
歩いてまいります。



漆黒の夜空に浮かび上がる、ライトアップされた
巨大な『大鳥居』が

近づくにつれ、視界を覆ってまいります。

全高17メートル

周囲10メートルもある、中央の2本の、楠の主柱と

その前後を支える、杉の木の支柱

満潮時には、海底に没している足元を

今は間近に見て、手で触れることが、できるのでございます。

表面が『藤壺』でびっしりとおおわれております。



無数に縦に走る、木目の割れ目に、無数のお賽銭が
差し込まれております。

実はこの『大鳥居』

海中に埋められているわけではなく、

海底に仕組まれた土台の上に
自重だけで立っているのでございます。



大鳥居の上に、主柱に支えられて水平に伸びる

『笠木』と『島木』

内部が箱状になっており、人の頭ほどもある『玉石』が
いくつも入っており、7トンの重さをもって

『大鳥居』全体を、上から押さえつけているのでございます。



漆黒の夜空に浮かぶ、巨大な『大鳥居』

神秘的なその美しい姿を見上げ

しばし無言の対話をしておりました。














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