雄大な大涌谷をロープウェイで渡るスリリングな旅


切り立った岸壁の底には

ふつふつと煮えたぎる

硫黄の煙が立ち込める谷が

眼下に広がり

まるで巨大な生き物の呼吸のよう

『大涌谷』から『早雲山』への

ロープウェイの旅は

僅か10分ほどの短い時間のなかで

極めてスリリングなものでございました。

今より3,000年の昔

箱根火山の水蒸気爆破により

山崩れと火山灰の堆積により誕生した

『大涌谷』

人を寄せ付けない

まるで『死の谷』の光景を

眼下に見下ろす旅でございました。

私達夫婦は

『箱根グリーンプラザホテル』で

一晩お世話になり

チェックアウトを済ませ

森を抜けて

『箱根ロープウェイ姥子駅』に

まいりましたのが

朝の8時半すぎ

『箱根ロープウェイ』の営業時期は

午前9時からですので

まだ駅は扉が閉まっております。

清々しい森のなかで

のんびりと待っておりますと

10分前に扉を開けていただき

駅の1階ロビーで

始発ロープウェイを

待たせていただくことになりました。

ロビーには

お土産物や

『大涌谷』に関する展示もありまして

結構楽しめます。

さて定刻になりまして

1階ロビーから

2階のロープウェイデッキに移動し

丸みを帯びたゴンドラに乗り込みます。

ゴンドラの中は結構広く

4人掛けの長椅子が4脚

進行方向と垂直に設置されております。

ゴンドラはゆっくりと

ロープウェイターミナルから

空中へ

前方には『箱根火山』の山々が

後方には『芦ノ湖』と

はるか彼方に聳え立つ

『富士山』が

夏空を背景にくっきりと

聳え立っております。

『大涌谷駅』

ゴンドラを降りて通路を進みますと

お土産物屋さんがございます。

ここで名物

『大涌谷黒たまご』を購入

ひとつ食せば

寿命が7年のびるのだとか。

ここからゴンドラを乗り換え

『大涌谷駅』から『早雲山駅』へ

ふつふつと硫黄の煙が立ち込める谷を

眼下に見下ろしながら

虚空へと進んでまいります。

硫黄の泉から

煙の立ち込める谷底は

さながら

『地獄谷』でございますが

そのような言語を絶する場所に

舎屋や櫓が建っております。

『箱根温泉供給』様

『大涌谷』から湧き出る温泉に

水蒸気を掛け合わせ

『箱根』一帯の温泉旅館に

温泉を供給されておられる

まさに『箱根』にとっては

なくてはならない事業者様です。

それにしても

何とみるからに

過酷な環境

温泉の生成業務や

設置のメンテナンス作業など

私達の想像を絶するものでございましょう。

ご苦労様でございます。

ありがとうございます。

壮大な『地獄谷』の虚空を抜け

ゴンドラは『早雲山』の

ターミナル駅へと下ってまいります。

『姥子駅』から

『大涌谷駅』を経由して

『早雲山駅』まで

約20分ほどの

スリリングな空中散歩でございました。