シャーマン岩-バイカル湖からアンガラ川への河口に立つ神秘の岩

『バイカル湖』から『アンガラ川』にそそぐ河口の真ん中に

まるで剣先のように突き出た『シャーマン岩』

古くよりこの地に住む人々は
この不思議な岩には

奇跡の力が宿っていると信じておりました。

この岩の上で、ある時は神聖な儀式が行われ

ある時は固い誓いがたてられました。

罪の疑いをかけられたものが
この岩に一晩置かれ

凍死したり溺れたりすることなく朝生きて朝を迎えられれば
無罪になったという言い伝えもございます。

この『シャーマン岩』には、次のようなおとぎ話がございます。

シャーマン岩にまつわるおとぎ話

その昔、この地には
『バイカル』という王が君臨しておりました。

『バイカル王』には350人の息子と
1人の娘がおりました。

『バイカル王』はこの1人娘『アンガラ姫』を
たいそう可愛がっておりました。

ある日『アンガラ姫』は
西の方に美しい青年『エニセイ』がいるとの噂を耳にします。

『エニセイ』に一目会いたいという想いは日々募るばかり。

しかし『バイカル王』は
『アンガラ姫』が、この地から一歩でも外に出ることを許しませぬ。

ある日『アンガラ姫』は『バイカル王』の目を盗み
『エニセイ』に会うために、西を目指して逃げ出します。

これを知った『バイカル王』はたいそう怒り
『アンガラ姫』の行く手を阻むべく
岩を投げつけます。

(あっ『バイカル王』。なんということをなさるのです!?
もし万が一『アンガラ姫』に当たったら危ないではありませぬか!!)

ところが『アンガラ姫』はすでに

岩が落ちた場所よりも、もっと遠くへと逃げておりました。

その後『アンガラ姫』は『エニセイ』と結ばれ
いつまでも幸せに暮らしました。

『バイカル王』の放った岩こそ
『シャーマン岩』でございます。

シャーマン岩存続の危機!?

実はこの『シャーマン岩』
爆破の危機に晒されたことがございます。

『イルクーツク』の街の南にある水力発電所
『アンガラ川』の流量が増えダムの水が増えれば
水力発電所の発電量もパワーアップするであろうと考えられ

いっそ『シャーマン岩』を爆破して
『アンガラ川』の流量を増やそうという計画が持ち上がりました。

なんと大胆で、恐ロシアな計画でございましょう。

しかしながらこの計画

『シャーマン岩』を神聖なものとして
信仰する地元の人々

貴重な観光資源として環境保護に注力する人々のもう反対に遭い
計画は中断いたしました。

『アンガラ川』河口に突き出た不思議な岩
『シャーマン岩』

本当に神様が宿っておられるように思います。

人間の目先の利益のために
爆破でもしようものなら

天にも昇るような龍の姿をした『バイカル湖』の主が現れそうな気がいたします。

そうならなくて
本当にようございました。

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