『ロシア』極東の街『ハバロフスク』
あなた様は、どのような街を想像されますでしょうか?
地吹雪が吹きすさぶ、色彩のない街?
厳めしいコンクリートの巨大な集合住宅が建ち並び
どこか、人を寄せ付けない雰囲気のある街?
かつては『旧ソ連』の『鉄のカーテン』の向こう側で
神秘のベールに包まれた街
私も、今申し上げましたようなイメージを
持っておりました。ところが・・・
実際に『ハバロフスク』の空港に降り立ち
バスの車窓から市内の景色を一目見た途端
そのようなイメージは、一瞬にして砕け散ったのでございます。
広大で豊かな褐色の水を湛える『アムール川』
その河岸に沿って広がる『ハバロフスク』は
まさに『おとぎの国』でございます。
ハバロフスクとはどんな街?
『アムール川』と『ウスリー川』が合流する地域に広がる街
『ハバロフスク』
面積は372㎢と、『石川県小松市』と同じぐらい
人口58万人と『東京都八王子市』くらい
夏の平均気温は22℃
冬の平均気温のマイナス22℃
冬は長く9月から4月まで雪が降ります。
夏は日本と同様30℃を超える暑さの日々もあり
冬はマイナス40℃をも下回る
私達には想像もつかない寒さの日々が続きます。
『マイナス40℃以上は寒さとは言わず
40度以下はウオッカと言わず』
とおっしゃる強者ぞろいのロシアにあって
どことなく『アジア』に通ずる
穏やかな雰囲気の街でございます。
街を散策すれば、まるで自分が
ケーキ屋さんのショウウインドウに迷い込んだ蟻のように
左右に立ち並ぶケーキのような建物たちに
思わず声をあげてしまいます。
インツーリストホテルから思い切って一歩外へ
『ハバロフスク』に来て、一夜明けました。
午前6時
窓から見る街はまだ、人がまばらです。
ホテルを出て、周りを探検します。
見た目も厳めしい『インツーリストホテル』を出て、
恐る恐る、街へと踏み出します。
豊かな褐色のアムール川
街には緑が多く、空気も爽やかです。
ホテル前の並木道を下ってゆくと
広々とした公園で出ました。
公園の向こうには、広大な『アムール川』が
悠々と流れております。
公園の遊歩道を、森に向かって
歩いてゆくと、やがて通りに出ます。
トロリーバスの走る街
『ロシア連邦ハバロフスク支局』
まるで、『ストロベリームースケーキ』のような
政府機関のオフィスとは思えないほど
可愛らしい建物でございます。
目の前を、トロリーバスが走りすぎてゆきます。
なにやら、昭和時代にタイムスリップしたような
不思議な感覚でございます。
極東美術館
『ロシア極東地域』最大規模の美術館です。
あの『エルミタージュ美術館』や
『ロシア美術館』『モスクワ美術館』の所蔵品が
ここに運搬され展示されております。
また『ナナイ族』や『ウリチ族』『エベン族』などの北方少数民族の生活に関する展示品
宗教画『イコン』や西ヨーロッパの絵画なども展示されております。
極東ロシア軍歴史博物館
煉瓦造りのちょっと厳しい建物
『極東ロシア軍歴史博物館』
『十月革命』以降『ロシア』国内での紛争に関する資料や
『旧日本軍』の『シベリア出兵』や『ノモンハン事件』に関する資料
『第二次世界大戦』の資料が展示されております。
屋外には、『ロシア戦車』の傑作といわれた
『T34型戦車』の実物が展示されております。
ウズベンスキー大聖堂
アムール川沿いの通りを、さらに進んでまいりますと
メタリックブルーの屋根が美しい
教会が見えてまいります。
『ウズベンスキー大聖堂』
2002年に大改修され、現在の姿に生まれ変わりました。
『ロシアの教会』といえば、ネギ坊主のような大きなドームが特徴的ですが
この教会は、尖塔の上に小さなドームがついているのみで
デザインの新しさを感じさせます・
塔の頂上までは、なんと60メートルもございます。
教会の前の広場を、出勤途上の人々が
ちらほらと歩いておられます。
まだ時間が早いせいでしょうか?
人も車も、それほど多くは
ございません。
ユニークなロシア森林開発機構の建物
横断歩道を隔てた向こう側には
古風な建物が建っております。
後日調べましたところ
『ロシア森林開発機構』の
建物でございました。
ハバロフスク図書館
広場の向こうには
複雑な煉瓦模様の建物が
建っております。
『ハバロフスク図書館』でございます。
『アムール川』沿いの街
『ハバロフスク』は、大変美しい街でございます。
建物はどれも、古風で個性的で
『東京』や『横浜』のような
未来的な都市とは、景観を異にいたします。
街をあるいているだけでも
心が和んでまいります。
オホーツク海の流氷はアムール川でできる
『アムール川』沿いの遊歩道を進むと
やがて展望台に到着いたします。
ここから、『アムール川』を
一望することができるのです。
この展望台
かつて『朝鮮民主主義人民共和国』の
『金正日』総書記が『ロシア』を訪問された際
ここから、アムール川をご覧になられたそうでございます。
ところで、『アムール川』はなぜ黒いのでしょうか?
ガイドのウラジミールさんのご説明によれば
アムール川の川底は、V字型になっており、
底にゆくにしたがって、流れが速くなります。
その流れが、肥沃な川底の砂を巻き上げ
中国では『黒竜江』とよばれるよおうに
河全体が、黒く見えるのだそうです。
春になると、冬の間に凍結した川は
流氷となって川を下り
やがて『オホーツク海』に
流れてゆくのでございます。
広大な『アムール川』
向こう岸と思われた陸地は、実は中洲で
対岸は、はるかその先。
なんと、スケールの大きいことでございましょう。
ここでは、まだ対岸は『ロシア』でございます。
対岸が『中国』となるのは
もうしこし上流の『ブラゴベシチェンスク』という
都市からでございます。
環境汚染が深刻なアムール川
近年、『アムール川』の環境汚染が
深刻化しているのでございます。
アムール川沿いの工場地帯(特に中国側)から
排出される汚水によって、
川の水が汚染され、
漁業に影響を与えているそうでございます。
美しい『アムール川』の環境が
保全されることを、願うばかりでございます。
ウラジミールさんにお伺いしたところ
冬の時期、『ハバロフスク』の積雪は
それほど高くはないそうでございます。
ただし、『アムール川』からの強風と
みぞれ混じりの雪は、大変厳しいそうでございます。