
新幹線から、在来線特急に乗り換えて旅すること
それは、まるでいつも通いなれた『大通り』から
一歩路地へと入り込み
見知らぬ道を探検する子供の頃のワクワク感を
思い起こさせるものでございます。
しかしながら、冒険にはリスクがつきもの
わずか数分という、限られた時間の中で
列車のホームが彼方まで並ぶ広大な駅構内で
これから乗車する路線を見つけ出し
無事に列車内の席に腰を落ち着けるまで
それは、ちょっとしたスリルを伴う
『冒険』でございます。
『京都駅』11時25分発『城崎温泉』行き特急『きのさき5号』
『東海道新幹線』を降りるや否や
改札口を抜けて、やたらと広い『京都駅』の構内を
急ぎ足で歩いてまいります。
『0番線』
そのさらに向こうの
『31番線』
そこに辿り着くためには
途中のホームに停車する、珍しい電車や
行き先の電光掲示板に、見入っている暇はございませぬ。
やっとたどり着いた、『京都駅』の端
エスカレータを降りますと
綺麗で広いホームの彼方に
白く輝く特急列車が、佇んでおります。

列車へと向かいかけたとき
左手に、おしゃれなキヲスクの店頭に並ぶ
美味しそうなお弁当が、視界に飛び込んでまいります。
急いで、駅弁と缶ビールを購入し
列車へと急ぐのでございます。
切符を片手に、列車沿いに速足で歩き
号車を確認し、列車に乗り込み
通路を歩き、座席番号を確認して
荷物を下ろし、席について
ほっと一息いたします。
そうなりますと、今度は
発車時刻が待ち遠しくなるもの
ホームに行き交う人々や
隣のホームの列車たちを眺めながら
缶ビールのプルトップに指をかけたくなるのを
こらえるのでございます。

やがて、列車は音もなく発車
ホームの光景が、ゆっくりと後方に流れてゆき
薄暗く広大な駅構内から
陽の光が眩しい、空の下へ
缶ピールを開け、まずは乾杯でございます。
そして、駅弁をいただきます。
蛸ご飯、たいへん美味しゅうございます。











