ただでさえ小さく狭い丘の頂上に
夥しい人々の群れが押し寄せます。
すれ違うのもやっとの状況の中で
丘の頂上に建つ黄金色の寺院を
ようやく一周できました。
丘の一角にある錆びついた砲台は
かつてここが戦場であったことを
無言で物語っていますが
ひしめき合う人々の視線は
眼下に広がる『ルアンパバーン』の街並みと
悠久の流れを育む『メコン川』と『カーン川』
その先に広がる山々の稜線に
沈みゆく夕日に注がれております。
いまや『世界遺産』の街として名高い
『ルアンパバーン』
『アジア』から
『アメリカ』から
『ヨーロッパ』から
『南半球』から
国境を越え海を越え、この地にやってきた人々
言語も宗教観も文化も、肌の色も違う人々が
この狭い丘の上にこぞって集まり
そろって同じ方向を、笑顔で見つめます。
彼らの視線の先にあるのは
森と川と寺院に囲まれた静かなこの街を照らし
山々の稜線にゆっくりとに沈みゆく太陽
彼らに答えるように
黄金色の柔らかな光が、その笑顔を照らします。